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プロ格闘家から理学療法士へ「プロアスリートが理学療法士になって気づいた真実」

競技する側から、治す側へ

プロアスリートとしての15年間の競技生活、そして理学療法士として「人間の身体」と向き合って気が付いたことがあります。


トレーニングを通して自らの目標達成に向かう際、最も注意すべき

トレーニングで逆に関節や筋肉を傷めてしまうことです。

怪我無くトレーニングで結果を出す

そのためにまずは頭に入れて頂きたいことは

知識だけでは体を守れない。」「がむしゃらに体を鍛えるだけでも目標には近づけない。

というシンプルな事実です。


私はプロ格闘家として、1日5〜8時間のトレーニングを続ける生活を約15年間続けてきました。

身体には常に痛みを感じていたにも関わらず、練習をがむしゃらに続けました。


その結果、頚椎をはじめ、全身の複数箇所に深刻な怪我を抱え、引退を決断せざるを得ない結果となってしまいました。

そんなに長時間練習していたら怪我をして当たり前じゃないか

そう思われるかもしれません。


しかし、高校野球では、格闘技よりも練習強度はさらに高く

1日8時間の練習は当たり前でしたが、競技が続けられないような大きな怪我は起こりませんでした。

では、なぜプロ格闘家としての私は怪我を繰り返してしまったのか?

どのようにトレーニングと向き合っていけばよいのか?

このことについては私自身深く考えてきました。

今回は私が理学療法士としての知識と、選手としての経験の両方から導き出した答えがありますので、皆様にお伝えしたいと思います。

「練習量」ではなく、「身体の使い方」が重要

人の体は、本来「負荷に適応する能力」を持ちあわせています。

毎日走れば脚は強くなるし、重いものを扱えば筋肉も骨もそれに適応して強くなります。
これは医学的にも証明された、生理学の基本原則と言えます。


しかし、それには条件があります。

それは「正しい動作で体に負荷をかけること」です。

どれだけ筋力があったとしても
関節の動く方向がズレる
体幹が安定しない
力の伝わり方が非効率
こういった状態で動き続ければ、負荷は「鍛える刺激」ではなく「壊すストレス」になってしまいます。

私自身のトレーニングに関しても、当時を振り返れば

誤った負荷のかけ方」を繰り返してしまっていたと強く感じています。

正しい動作パターンを身に着けたうえで、トレーニングを実践することが非常に重要になります。

「危険察知能力」を磨く!違和感や痛みに注意を

私自身、格闘技で怪我を重ねましたが

突発的に致命的な怪我が起こる」という場面はありませんでした。

引退のきっかけとなった頸椎の怪我に関しても

はじめは、「左腕の軽い違和感」から始まっています。

この「小さな違和感」を見逃さないことがとても大切です。

小さな違和感徐々に痛みへと発展

ある閾値を超えると、深刻な筋肉や関節の深刻な障害に繋がるケースが多く見られます。

障害の予防を考える際に、痛みが出たその瞬間では手遅れです。

私自身が経験した様々な怪我の経緯から考えても

痛みが顕著になる前に、「違和感」というサインを出していることがほとんどです。

肩が重い感じがする。
腰に張りがある。
関節を動かすと引っかかる感じがある。
力が入りにくい感じがする。
いつものフォームうまく取れない。

このような違和感を見逃さないことが非常に大切です。

体が出す「もう限界が近いよ」という信号であることも考えなければいけません。


しかし、選手として競技にのめり込んでいた頃の私は
気のせい」「まだいける」「この程度なら大丈夫
と、そのサインを無視して強度の高い練習を続けてしまっていました。

結果として、違和感が痛みに痛みが故障に故障が引退に直結することになってと感じています。

重要なことは「違和感」の段階で対処することです。

身体が出すサインを決して見逃さぬように

私が格闘技のプロ選手として活動し、そして理学療法士として身体について学んできた中で

最も重要だと感じていることがあります。

アスリートとして成功したい」「トレーニングで良い体になりたい」「運動を通して健康になりたい

どういった目的であっても、トレーニングを実施する際に注意すべき点

前項でもお伝えしましたが

正しい身体の使い方を学び、身体の違和感を決して無視しないこと。

怪我を未然に防ぎ、長期にわたって運動を継続していただくことが大切です。

例えば、アスリートとしてパフォーマンスアップを考える際に

怪我なくコンディションの良い状態で強度の高い練習が継続して可能であれば


練習時間を削る必要はありません。
練習強度を落とす必要もありません。

しかし、トレーニングに対しての正しい知識がなければ、良いコンディションを維持し

強度の高いトレーニングを継続することは困難です。

私の場合であれば、頚椎のダメージが深刻になる以前に

左腕の強い痛み」「肩甲骨内側の筋肉の張り」「頭痛や首の痛み、全身の倦怠感」といった

身体からの様々な危険信号が多く表れていました。

当時を振り返れば、この段階で正しい対処を行う必要がありました。


自分自身の怪我を通して、
もっと早く気づけていれば…」という悔しさと、

身体に関する無知の恐ろしさを感じています。

自らの身体について学び、自らの身体と対話する

これからスポーツを続ける方健康な身体を目指してトレーニングを行う方に同じ後悔をしてほしくない。

トレーニングで引き起こされる怪我を防ぐためには

自分自身の身体について学び、理解を深めていただくことが重要です。

関節の安全な動かし方(関節運動学)
筋肉が力を発揮しやすいポジション
疲労が溜まっている際の身体との向き合い方
違和感という身体へのメッセージ
これらを理解し、日々のトレーニングに落とし込むことができれば
怪我を防ぎ、良い結果を得ることが可能です。

そのためには、まずは身体に関する基礎知識を学ぶことが大切です。

理学療法で言うところの運動学生理学

関節や筋肉の成り立ちや特性を自ら学び、理解することで

トレーニングに対する向き合い方も大きく変わります。

身体の知識なんて難しく勉強する気になれない」そう思われる方も多いかと思います。

しかし、難しく考える必要はありません。

書籍はもちろん動画のコンテンツやインターネット上のブログなどでも

知識・権威のある方からの情報は簡単に手に入れることができる時代です。

賛否あるかもしれませんがAIからでも身体の知識を学ぶことができます。

例えば、私がパーソナルトレーナーとして、お客様のトレーニングのサポートをさせていただく際には

ただトレーニングを指導させていただくだけでなく

ご自身の身体についての知識を深めていただけるよう

トレーニングの目的や効果お身体の状況を専門知識を交えてお客様にわかりやすくご説明しています。

難しく考えすぎる必要はなく、わかる範囲から身体の知識を学んでいただければ十分です。

自分自身の身体に対する知識を深めることで

トレーニングの意味合いや重要性に気づくことができ

受け身ではなく、より真剣にトレーニングと向き合うことができます。

例えば、関節や筋肉に違和感や痛みが出た際に

整形外科に行き、薬をもらって終わり」ではなく

なぜ痛みが出たのか?」「繰り返さないためにはどうしたらよいのか?」といったことを真剣に考え

情報を集めてみることが大切です。

・医師に直接相談してみる。

・トレーナーに聞いてみる。

・書籍で調べてみる。

・youtubeで関連する動画を見てみる。

・AIに質問してみる

方法はたくさんあるかと思います。

もちろん間違った情報を受け取ってしまうこともあるかもしれません。

しかし、常に「常に学びながらトレーニングに打ち込む」という姿勢を持って実践すれば

情報の取捨選択も正しくできるようになってきます。

自分自身の身体について学び、自分自身の身体と向き合う

この姿勢が怪我を防ぎ、長くトレーニングを継続していただく上で大切です。

まとめ

最後まで読んでいた頂きありがとうございました。

ここまでの内容をまとめますと

①トレーニングで結果を出していただく為に、トレーニング中の怪我の予防が大切

②そのためには関節や筋肉に負担をかけない身体の動かし方の身に着けることが重要

③怪我の前兆である違和感を見落とさず、早めの対応が必須

④これらを実現するためには、自ら身体についての知識を学ぶことが重要

⑤知識を学びながら、常に自分自身の身体と向き合う姿勢を持つ

トレーニングに取り組まれる際には、是非これらの内容を踏まえて実践していただければ嬉しく思います。

今回の記事を通して、

皆様に少しでもお役に立ちできることがあればうれしく思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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記事の執筆者
阪本洋平(ピアレスウルフ代表)

理学療法士
総合格闘家/初代GRACHANライト級チャンピオン/第二代GRACHANフェザー級チャンピオン
パーソナルトレーナー

経歴
琉球大学理学部海洋自然科学科生物系卒業。
琉球大学在学時代から総合格闘技のプロ選手として活動を開始。
その後自らの怪我や痛みの原因を知るため、茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科に入学。
在学中も選手としての活動を継続する。
卒業後は理学療法士として茨城県内の総合病院に勤務する傍ら、初代GRACHANライト級チャンピオン(2016年)第2代GRACHANフェザー級チャンピオン(2017年)を獲得。
2023年4月、つくば市松代にキックボクシング・ブラジリアン柔術・総合格闘技ジム「ピアレスウルフ」パーソナルトレーニングジム「ピアレスウルフパーソナル」をオープン


阪本典子(スペシャルアドバイザー)

医学博士
大阪市立大学 医学研究科解剖学 博士課程修了
九州栄養福祉大学 名誉教授



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